今回は阿南町新野に住んで、林業をしている「まぁーくん」の職場(飯伊森林組合南部事務所)にお邪魔して、「まぁーくん」と事務所の皆さんにお話を聞くことができました。
山師(林業)のお仕事とは
「林業」と聞くとチェーンソーや重機を使って大木を伐るイメージが強いです。けれど、伐採以外にも山の整備や保全のために様々なことが行われています。
- 伐採 木材として利用するために木を伐り倒すこと
- 集材 伐った木材を市場用に便利な場所まで集めること
- 搬出 伐った木材を重機を使って山から運び出すこと
- 下刈り 雑草が苗木の生育を妨げないよう刈ること
- 除伐 育成した木の成長を妨げる雑木などを伐る作業のこと
- 枝打ち 上質な木を育てるために下枝を切り落とすこと
- 間伐 樹木が成長し混み合った木を間引くこと
所属する組合などによって多少異なりますが、上記を一括りにして「林業」と呼ばれているようです。山を健全な状態に保つことで、水源を守り、土砂災害を防止してくれています。
水源を守る
健全な森の土壌は有機物やさまざまな生物によって雨水の浸透率が高く、水分をたくわえてゆっくり河川に流すことができます。また水質を浄化する効果もあるとされています。
土砂災害の防止
森の地中にはりめぐらされた樹木の根は、土壌を斜面につなぎとめる能力があります。
また表面を覆う落ち葉や枝、雑草などによって土砂の流出を防ぎます。
どんな仕事形態なの
[基本] 朝8時から17時まで
[昼休] 12時から13時まで
[休憩] 10時と15時に30分間
※30分休憩は班、作業内容によって異なります。
[休日] 日曜・祝日
※雨の日も休みになります。
※雪の日は休みになりません。
勤務時間は朝から夕方のだいたい日が落ちるまでです。
夜は作業がなく現地へ直行・直帰できるので、
残業もなく自分の時間も大事にしつつ働けます。
現地へは自分の車で向かいます。
大変なところ
1. 体力的に大変
斜面をチェーンソーなど道具を持ちながら上り下りするので、最初の数か月は体が慣れるまでかなりきついです。けれど、苦労して山に登ったときの山頂からの景色は感動します。
2. 仲間の動きを想像して作業をするところ
離れた場所にいる仲間と無線でやりとりして丸太の搬出作業などを行うため、仲間や材木の動きを想像しつつ重機を操作するところが大変ですが、やりごたえのあるところです。
3. 刃物を扱うので危険が伴うところ
チェーンソーを使って斜面で作業を行うので、集中し周りに気を配らないと大事になることがあります。安全確保のためのルールが多数あり、作業中何メートル以内は互いに近づかないことや、笛を使って周りに注意を促したりしていました。
また、いきなり木を伐ることはなく1年以上は枝払いや下刈りなどを行います。チェーンソーで木を伐れるようになるには、研修を受けて資格をとることが必要です。組合によっては植林などがメインで伐採の作業がない事務所もあるそうです。
林業は汚い、きつい、危険、稼げないなどいろいろいわれているそうです。
けれど実際に、私も今回の取材で山の中腹まで登らせてもらって、かなり大変でした。足元の土も柔らかく、あちこち掴みつつ登らないと歩けませんでした。
けれど、こんなに山の中を歩いたのは本当に久しぶりでした。久々に泥だらけになって全身を使って山を登って、とても楽しかったです。
心が折れそうになることはありますかと伺ったところ、安全のため防護靴や防護服、手袋やヘルメットを着けているので夏場は暑さがきつく、1日4リットル以上水分をとると聞きました。
求人はありますか
現在所属しているメンバーのうち、8割が高齢のため若い(50代以下の)体力のある方を募集しています。山が好きだったり、木が好きだったりで挑戦する人はいるのですが、体力的に大変な仕事なため、少なくとも 1 年ぐらいは頑張ってほしい。
今回お話を聞いたまぁーくんが所属している班は20代~30代の方が多く、とても雰囲気のいい職場でした。
どんな団体に所属しているの
飯伊森林組合(はんいしんりんくみあい) 南部事務所
飯伊森林組合は長野県飯田市および下伊那郡(根羽村、阿南町和合地区を除く)を管内とする森林組合です。管内の面積は1,929km²と、香川県や大阪府より大きく、その森林率は86%と非常に高い状況です。事務所は飯田市常盤町に本所があり、旧市町村にひとつの事務所(支所)があります。2020年現在、南部事務所には20 名ほどの職員が所属しています。
https://hanishinrin.or.jp/
まとめ
今回取材して、普段目にしない重機が稼働しているところを見たり、大きなチェーンソーを持たせてもらったり、山頂から丸太を搬出するところが見れたり、大変貴重な体験ができました。重さ6キロ以上のチェーンソーを持ちながら皆さんひょいひょい山を上り下りしていて驚きました。
普通に山を登るだけだったのに競技になりそうなくらいハードな運動で、思わず運動不足な自分を笑ってしまうくらいのハードさでした。取材後数日は筋肉痛で動けませんでした。
けれど、山を登った後の景色の美しさや、信頼しているからこそできる仲間とのやりとり、かっこいい重機の操作などなど、きつさに勝る魅力があることも知ることができました。
下記動画はその魅力の一端です。お楽しみください。