いよいよお盆の行事の始まりです。まずは、8月1日は、お墓掃除の日。標高800mの新野高原にも夏の強い日差しが照り付けています。でも、風は爽やかです。草を刈り、雑草をむしり、墓石を磨きました。
作業をしながら、「〇〇さんは、おばあちゃんがお嫁に来る前に亡くなったんだね。」とか、「〇〇さんは、俺が生まれる前に小学校1年生で亡くなったんだに。今でいう熱中症だな。」など祖先のお話をします。この人たちが頑張って生きて、命をつないでくれたおかげで、今の自分たちがいることを実感する日です。ご近所の方も故郷に帰ってお墓掃除に来られていました。「あれ、久しぶりだねえ。元気だったかな。」と会話がはずみます。
お墓には、三界萬霊(さんがいばんれい)と書かれた石碑が祀られています。これは三つの世界、すべての精霊に対して供養することの大切さを示すものです。
掃除が終わり、ほっと一息見渡すと、夏の新野高原の緑と夏空が広がっています。
最後に、お線香をお供えして、お参りします。ご先祖様も気持ちよさそう。もうじき、お盆でお家に盆棚をつくり迎え火を焚いて、仏様をお迎えします。これからも家族をお守りください。
直ぐそばには、名刹 瑞光院 がどっしりと佇んでいます。こうしたお墓参りをすることで、自分もいつか送ってもらうのかなと、死への恐怖が和らいでいくのだと思います。
祖先を大切に祀ることは、実は、自分の心が安らぐことなのだと実感した日でした。
南信州新野高原(長野県下伊那郡阿南町新野)には、今もなお信仰を大切にした生き方があります。「新野の盆踊り」もただの楽しむイベント盆踊りではなく、祖先との心の交信なのです。