今年で3回目になる「ドラム缶式炭焼き窯」による炭焼きにチャレンジしました。ご近所の炭焼き歴50年以上という師匠にきていただき、ご指導を受けながら行いました。師匠は天候、風、温度、湿度、煙の色、においなど全て五感で感じることができるスーパーおじいちゃんです。
午前9時 作業開始。 これは、ドラム缶釜の上部。この中に炭になる木材を詰め込みます。
窯内部から燃焼室(焚口)を見たところ。二つのドラム缶をつないで作ってあります。反対側の下部に、煙突口につながる穴が開いています。
窯の上部からカナ木(広葉樹の硬い木)を隙間なく入れます。まず底には「敷き木」として細い枝を並べ、その上に隙間なく太めの木を詰め込んでいきます。できた炭は焼く前の直径の半分程度になりますので、結構太い物でも入れます。最後に細い木を隙間に詰め込んでいきます。
燃焼室の焚口は、大きすぎると炭にならずに木材が燃えてしまいます。ブロックと赤土で小さくし空気の量を調節します。
薪を詰め込んだら、開口部より少し大きな鉄板をかぶせて、接合部に赤土を塗りつけてから、土を盛ります。土は周りの畑からスコップで盛ります。一度釜口を閉めてしまうと、中の様子はわからないので、煙突口から立ち上る煙の温度、色、においが炭化の進み具合を知るための重要な手がかりとなります。
森の中にたくさん落ちている杉の葉を、秋の内に集めておき乾燥させておきます。これが一番よい着火剤ですね。香りもよいです。
マッチで杉の葉に点火。
午前9時30分 点火。焚きつけのこつは、杉っ葉から小枝、少し太い枝、とだんだん太くしていきます。うちわであおいで空気を送るとよく燃えます。
点火できたら、30分ごとに薪を追加し、うちわであおいで火力が落ちないようにします。
午前11時。もくもくと煙が上がり始めました。まだまだ薪が燃えている煙です。炭材の炭化は始まっていません。
ひたすら薪を入れて炊きますが、「おき」が溜まってくるので、時々かきだします。すると上部に隙間ができて空気の流れがよくなります。
次第に、白煙が上がり始めます。これは炭焼き言葉で「湿煙(水煙)」と言います。煙突口には水滴がたくさんついています。これで炭になる木材に点火が始まりました。煙の温度はまだまだ30℃程度。煙の温度は非接触式温度計で測ります。ブルーシートは風よけです。風が焚口から入りすぎると燃焼が進みすぎて炭が燃えてしまいます。師匠のアイデアです。このまま、6時間程度焚き続けます。
暗くなってきました。時刻は午後5時を回っています。
午後6時 窯内の炭材点火から8時間経過。煙突出口の温度が80℃くらいになり、白煙に薄い黄褐色の煙が混じるようになり、つんと鼻をつく刺激臭がするようになります。これを炭焼き言葉で、「煙が辛くなった」といいます。またこの時の煙を「きわだ煙」といいます。炭材の炭化が始まったことを意味します。これを合図に、焚口を細く絞り空気量を少なくします。ブロックをハンマーで割って小さくし、赤土で周りを固めます。煙がわずかでも漏れている所も赤土でふさぎます。この後は、焚口からの薪の補給はせず、炭材自身の熱分解だけで炭化がすすみます。
水煙がもくもくと上がっています。これは、窯内の炭材の炭化が始まっている証拠。煙突口も50%程度に絞ります。
煙突口の温度は80℃くらい。
焚口をしぼり、煙突口にも鉄板やL字鉄骨を置いて空気の流量を調節します。煙突の出口が広すぎると炭が燃えてしまうし、狭すぎると冷えてしまい炭化が中断してします。このまま、熱分解が継続する程度に、煙突口を調整します。
そして、数時間後・・・炭化が進むにつれて、煙の色は白色から青白青色に変わります。やがてたばこの煙のような紺青色になります。これを炭焼き言葉で「あさぎ」といいます。最後に無色透明になったら炭化は終了。
ようやく「煙切り」といって、通風口を赤土でふさぎ、煙突口も完全に閉じます。少しでも空気が入ると、窯内の炭化した炭が燃えだしてしまいます。
結局、「煙切り」は次の日の午前6時になりました。
1週間後、完全に冷えてから窯内の炭を取り出します。さあ、今年の出来はどうか?お楽しみに。